令和5年度 告諭
曹洞宗の今年の指針である告諭が
曹洞宗管長であられます石附周行禅師により述べられています。
今、私たちは多くの困難と不安に直面し、その生き方が問われています。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、多くの尊い命が失われ、人びとは深い混迷の中にいます。国際紛争や内戦、貧困・差別・格差・いじめ・命を奪う事件などの社会問題、近年頻発する自然災害・地球環境の変動などは、私たちに生存の危機をもたらしています。
一仏両祖のみ教えに生きる私たちは、どのような生き方を目指せば良いのでしょうか。 お釈迦さまは智慧と慈悲をもって生きることを示されました。智慧とは万物に生かされている生命の真理に気づく力です。慈悲とは限りないいつくしみの心をもって人びとの苦しみを除き安楽に導くことです。この時、私たちはさまざまな立場を認め合いながら、寛容になれるのです。
瑩山禅師は「たとい難値難遇の事有るも、必ず和合和睦の思いを生ずべし」と示され、人びとの悲しみも苦悩も我が事のように受け止め、相和して生きることをお説きです。
本年も四摂法の「同事」を実践の柱として、分かち合い、支え合い、思いを重ね合って、人と人との繋がりを深めてまいりましょう。
道元禅師は「この法は、人人の分上にゆたかにそなわれりといえども、いまだ修せざるにはあらわれず」と示され、み教えを、ていねいに日々の生活の中に生かしていくことをお諭さとしです。
仏さまに手を合わせ、坐禅に親しみ、世界中の人びとが誰一人取り残されることなく、安らかに暮らせるよう、祈り、念じ、皆ともに菩薩行を進めてまいりましょう。
いよいよ明年、大本山總持寺開山太祖瑩山紹瑾禅師七〇〇回大遠忌が奉修されます。この遭い難きご法縁を感謝しともどもにご信心をさらに深めていただくことを願ってやみません。
合掌
南無釈迦牟尼仏
南無高祖承陽大師道元禅師
南無太祖常済大師瑩山禅師
令和5(2023)年4月1日
曹洞宗管長 石附周行
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