【報告】喜連川少年院へ視察研修に行ってきました
令和5年(2023)6月21日、曹洞宗栃木県青年会の研修として、喜連川少年院へ視察研修に行ってまいりました。そもそも少年院という施設自体行くことは初めてですし、知らなかった事実が沢山あるので学びをシェアします💡
少年院とは?
少年院は、主として、家庭裁判所の決定により保護処分として送致された少年を収容する、法務省所管の施設です。
少年院では、在院者の特性に応じた適切な矯正教育その他の健全な育成に資する処遇を行うことにより、改善更生と円滑な社会復帰を図っています。
喜連川少年院では現在20名強が収容されており、いずれも高校生とのことでした。
保護処分の流れ
出典:法務省矯正局, 少年院のしおり, https://www.moj.go.jp/content/001221690.pdf
家庭裁判所が処分を決定しますが、そのうち多くは保護観察となり、少年院送致に至る割合は全件のうち1割程度が実態とのことです。長期間社会から隔絶される少年院送致は、当該少年に与える影響は大きく、少年やその保護者としてはできれば避けたいと考えていることが通常と言えるでしょう。
喜連川少年院の特色
喜連川少年院の大きな特徴として、「全国の少年院で唯一の高等学校通信教育制過程の設置」があります。
宇都宮高等学校通信制の分散場を設置
喜連川少年院で高校通信制課程の入学式(https://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/20230511/1090014916.html)
出院した後の進路の選択肢を拡大し、就労の確保のため、高卒程度の学力、社会人としてのスキル、就労に有効な資格を取得させることが必要との考えの一貫で宇都宮高等学校の分散場が置かれています。
また、道の駅きつれがわでの野菜の販売や、陶器(どんぶりや湯呑など)の販売を通して、一般社会との関わりを作っていることが特徴的でした。
※地元のラーメン屋さんで、喜連川少年院のラーメンどんぶりを気に入って全てそれに入れ替えたという話を耳にしました💡
少年院職員の教育的ジレンマ
喜連川少年院は”住環境”としては快適と言える生活レベルが保障されているように感じました。令和2年に全館リフォームの大型工事を経て、冷暖房完備、個室完備、明るく清潔な院内、広大な農作業地、陶芸場、宇都宮高等学校分散場、、など良い意味で想像していた少年院というイメージを覆すとても清潔感のある施設でした。
しかし一方で、施設の特性上窓枠には全て鉄格子、浴室の内側には全面強化ガラス、大きなグラウンドは周囲を有刺鉄線や圧力感知線で覆われた”囲い”が張り巡らされていました。
注:イメージ
研修をご担当頂いた次長の言葉が考えさせられるものでした。
社会復帰を目指すための”教育”をする環境であるのに、このような囲いがされていては本当に彼らのための”教育”ができるのか。私はこのことにずっとジレンマを抱えているのです。
少年院の職員は、公務員の一人。罪を犯した者を収容する性質上、逃げ出したりしないよう厳重な警備が必要。しかし一方で彼らはまだ若い少年であり、少年院は彼らを更生させ、社会復帰を促すことが目的であるためその教育を行う場でもある。本当の意味での教育はこのような場所では行えないのではないか、というジレンマと理解しました。私も教育に携わる人間の一人として共感し、これからの少年院のあり方にも関わってくる話と感じました。
しかしその大切なことに目を背けず、本音を語ってくださった次長様に敬意を払いつつ貴重な機会をいただけて感謝の気持ちでいっぱいです。
実はこんなところに!僧侶との関係
今回少年院にお邪魔させて頂きました、ここ以外にも刑務所など罪と向き合う場において僧侶との接点や僧侶に求められることなが分かったりします。続きはまた次回、お伝えしたいと思います、お楽しみに💡
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